経営理念ってなに?②~ミッション編~

労務コラム

経営理念ってなに?②~ミッション編~

前回から「経営理念ってなに?」というテーマで、「経営理念がなぜ大事か?」について書きました。
今回は「経営理念って具体的にどんなもの?」について書きたいと思います。

経営理念は、大きく分けて3つの要素があります。
①ミッション
②ビジョン
③バリュー

今回は①ミッションについてお話をします。

ミッションと聞いてすぐに思いつくのは「ミッション系の学校」。
これは主にキリスト教や仏教を始めとした宗教の教えに基づいて運営される私立学校を意味します。
次に思いつくのは「ミッション:インポッシブル」。
トム・クルーズが主演のアクション映画ですね。
「極めて危険で難しい任務」という意味があります。

ミッションを和訳すると「任務、使命、目的、目標」などの意味がありますが、経営理念上のミッションとは「使命感を持ってやること」という捉え方になります。

経営理念ってなに?②~ミッション編~

私は10年以上前に社会保険労務士として独立をしました。
その時に「社長の片腕となり信頼される社労士になる」とひそかに考えたわけですが、
これをビジョンと呼びます。
「自分が、自社がどんな状態になりたいのか?」の問いに対する答えがビジョンです。
これについては次回以降のブログで詳しく説明します。

一方で
「お客様にどんな価値を与えながら片腕となり信頼される社労士になるつもりなの??」
この答えがミッションです。

例えば、
・明るい笑顔を大切にして
・お客様に寄り添う気持ちを大切にして
・求めるニーズを的確に掴んで
・お客様の立場に立って
これはお客様への「思い・姿勢」に対してのミッションです。

・最新の法改正の知識を提供して
・人手不足を解消して
・社員に成長を促す研修をして
・モチベーションアップに繋がる人事評価制度を作って
これは、お客様に提供する「スキル・サービス」に対してのミッションです。

・働きがいのある職場風土を作るお手伝いをして
・求める人材を集めるサポートをして
・労働トラブルから守って
・自立的に行動する社員へ成長させ
これは、「相手の状態」に対してのミッションです。

ここで考えて欲しいのは、この「思い・姿勢」「スキル・サービス」「相手の状態」が単独のミッションは、なにか弱いということです。

『求めるニーズを的確に掴みます』これが私のミッションです」
だと、確かに色々とヒアリングしてくれそうな気がしてありがたくはありますが、「じゃあ具体的に何をしてくれるの?」って感じです。

『モチベーションアップに繋がる人事評価制度を提供します』これが私のミッションです」
だと、社員のモチベーションが上がるような気はしますが、「それによってうちの会社はどうなるの?」って感じです。

『働きがいのある組織風土を作るお手伝いをします』これが私のミッションです」
だと、結果はイメージしやすいですが「でも、どうやって?」って感じです。

まとめますと、
「どんな気持ち・姿勢」と「どんなサービス・スキル」で、うちの会社を「どんな状態にしてくれるの?」ということがセットになったミッションでないと、相手に伝わりにくいということです。
逆に言うと、その3つがセットになったミッションこそ相手に伝わりやすいということです。

例えば
『求めるニーズを的確に掴みながら、モチベーションアップに繋がる人事評価制度を構築し、働きがいのある組織風土を作るお手伝いをします』これが私のミッションです」
これだとどうでしょう?
この社労士がどのような姿勢と手段で、うちの会社をどのような会社にしようと思っているのかが、明確になっていて分かりやすいですね。

では、ミッションが定まったこの社労士は、次にどのような行動を起こすでしょうか?
まさか、突然筋トレをし出すことはないでしょう 笑
このミッションと筋トレは、さすがに関連性がないですよね。

恐らく、次のような行動を起こすでしょう。
・クライアントのニーズを的確に掴むために傾聴力や質問力に磨きをかける。
・社員のモチベーションを上げるための人事評価制度を学びに行く。
・学んだことをクライアントの人事評価制度に反映させる。
・社員の離職率低下や、業績向上による処遇の改善という結果を出して、働きがいのある組織風土作りを実現していく。

ここまでの話で気付いた方もいるかも知れませんが、ミッションは事業をどのように進めていくかという「経営戦略」と密接な関係があります。
ミッションは「経営理念」の一部ということで概念的なもの、道徳的なものというイメージがあるかも知れませんが、それだけではないのです。
「ミッションを考えること」「どのように事業を進めるのかを考えること」同義なのです。
ですから、経営理念を作るうえでミッションはとても大切だと言われているのです。

経営理念 事例1

九州最大の地方銀行グループであるふくおかフィナンシャルグループの経営理念は、このブログで言うところのミッションに近い形で表現されていますので紹介させていただきます。

九州最大の地方銀行グループであるふくおかフィナンシャルグループの経営理念

高い感受性と失敗を恐れない行動力を持ち、
未来志向で高品質を追求し、
人々の最良な選択を後押しする。

分析すると、『「組織の属性」と「組織の姿勢」で「お客様の望む結果」を実現させる』という構成になっています。
金融という目に見えない様々なサービスを提供することから、やや抽象度が高い表現となっていますが、クールで知性がある中に確かな自信も感じられる素晴らしいミッションだと思います。
融資や資産形成など金融商品を複合的に提案していくことになるため、それができる人材の育成や、グループの連携に力を入れていくのでしょう。
人生を選択するのは自分ですが、ふくおかフィナンシャルグループと関わることで後悔が少なくなる、むしろ良いことがたくさん起こりそうなイメージが持てるので、お付き合いしてみたくなります。

経営理念 事例2

もう一つご紹介します。
100円ショップのダイソーの企業理念―ミッション―です。

100円ショップのダイソーの企業理念―ミッション―

自由な発想で、楽しさと豊かさを提供し続ける
なんだ!ダイソーにあったんだ、こんなものまであったんだ!の感動の追求

これも分析すると『「組織の姿勢」と「提供するサービス」で「相手が得たい感情の状態」を実現する』という構成になっています。
安くてバラエティーに富んだ商品をたくさん揃えることで豊かさや楽しさ提供するだけではなく、意外性の高い商品も揃えることで感動を生み出そうということなのでしょう。
それを実現するための商品開発や店舗運営に力を入れていくのでしょうね。
実際に筋トレやダイエットグッズ、携帯ゲーム機などが置いてあったりしますので、お店を見て周るだけでもワクワクしそうです。

2社の事例を紹介しましたが、「ミッション」と「経営戦略」が密接に関係していることがイメージできたかと思います。
今回のブログでお伝えした視点で会社の経営理念を眺めてみると、今まで見えてなかったものが見えてくる面白さがありますので、ぜひ皆さんも色々な会社の経営理念をチェックしてみてください♩

今回はミッションについてお話しをしました。
次回はビジョンについてお話しをしますので、楽しみにしてもらえればと思います♩

社会保険労務士法人菰田総合コンサルティングでは、企業向けに社員面談や管理職研修、経営者向けに理念策定と浸透のサポート等の人事コンサルティング業務も行っております。
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