労災保険ってなに?②~業務災害編~

労務コラム

労災保険ってなに?②~業務災害編~

前回のブログでは労災保険の概要について解説を行いました。
前回の記事はこちらから:労災保険ってなに?①

今回はどのような事故に対して労災から給付がされるのかを解説していこうと思います。

まず大きく二つに分かれます。

①業務災害(仕事中の災害)
②通勤災害(通勤途中の災害)

この二つの災害の負傷、疾病、障害又は死亡に対して保険給付がなされます。

今回のブログでは①の業務災害にフォーカスしていきたいと思います。
業務災害として認められるためには次の2つのいずれか、あるいは両方を満たす必要があります。

❶業務遂行性が認められるか?
❷業務起因性が認められるか?

ではそれぞれ2つについて解説していきます。

❶業務遂行性
労働者が労働契約に基づいて事業主の支配下にある状態で、命じられた業務に従事しようとする意思行動性のことを言います。
簡単に言うと、業務時間中に命じられた業務をやっている時の災害なのかどうかということです。

また、飲食店で調理を命じられていた調理師が誤って包丁で指を切ってしまったというのは
「事業主に命令されてやったんだからしょうがいないよね」
として業務災害としては認められる可能性は高いでしょう。

労災保険ってなに?②

一方で、業務時間中の電気修理工が他の会社の顔見知りの労働者の作業を私的に手伝って死亡した事例があるのですが、
「それって事業主の命令で手伝ったんじゃなくて、自分の判断で手伝ったんだよね」
ということで業務災害と認定されなかったようです。
親切心で手伝ってあげたのに業務災害として認められないのは人情味がなくてなんだかかわいそうな気がしますが、仕事をしてお給料をもらう以上は業務命令以外のことはしないようにということなんだと思います。

❷業務起因性
業務に内在している危険有害性が現実化したと経験則上認められることを言います。
簡単に言うと、災害が起こった時に
「この仕事をしてたら確かにそれって起こりえるよね」
と思えるような災害であるかどうかということです。

そのため、剪定作業中に作業員が蜂に刺されて負傷した場合、
「蜂に刺されるということは起こりえるよね」
ということで業務災害に認定される可能性は高いでしょう。

一方で、児童がバットで打った小石により自動車運転中の運転手が負傷した事例があるのですが、
「そんなこと普通起こらないよね」
ということで業務災害と認定されなかったようです。

これも真面目に運転していた運転手さんがかわいそうな気がしますが、想定外のリスクが起こった時のことを考えて任意保険に入っておくなどの備えをしておく必要があることがわかります。

他にも、警備員が暴漢に襲われて死亡した事例は
「警備員の仕事は危険な仕事だからあり得るよね」
と認められ業務上と判断された一方で、事業場附属施設内で就寝中の工場長が元従業員から怨恨により殺害された事例においては
「それって業務中じゃないし、そもそも自宅で襲われてても不思議じゃないよね」
と認められず業務外と判断されたりしています。

労災保険ってなに?②

ちなみに災害が業務上かどうかの審査を行うのは労働基準監督署です。
では労働基準監督署はどのような手順で審査を行っているのでしょうか?

一般的には業務遂行性を判断し、次に業務起因性を判断し、両者が認められるときは業務災害の認定をすることになっています。
ただ、判断に迷うケースなども当然ありますので
「労働者が事業主の支配下にあることに伴う危険が現実化したものと経験則上認められるか否か」
という業務起因性と業務遂行性の両方を考慮した考え方を基にして、個別具体的に判断されているのが実情なようです。

どちらにしても、仕事中は安全に気を付けて労災のお世話にならないようにしたいものですね。

では次回のブログでは通勤災害について説明していきたいと思います。

 

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