社員の定着に欠かせないのは『承認』です②

社員の定着に欠かせないのは『承認』です②

前回のブログで「承認」は「社員の満足度が上がり、職場への定着が促されるのです!」とお伝えしました。
前回の記事はこちら
そのことについて解説しますね。

皆さん、「ハーズバーグの2要因論」はご存知でしょうか?

衛生要因 動機付け要因
満たされても満足が増えない。
満たされないと不満が増える。
=不満を解消する、離職を防ぐ要因
満たされると満足が増える。
満たされなくても不満は増えない。
=満足感が発生する、定着を促す要因
□人間関係
□労働条件(長時間労働)
□給与
□作業条件(業務量、作業方法)
□監督(上司との関係)
□会社の方針
□昇進
□承認
□達成感
□仕事の責任
□個人の成長
□自己実現

先ずは図の左側「衛生要因」ですが、改善されると社員の会社や仕事に対する気持ちがマイナスからゼロになるという要因です。
つまり改善されるとヤル気アップまでは期待できないけども、不満が少なくなるという要因です。
その「衛生要因」の中に実は「給料」が含まれています。

つまり、給料を手厚くすると会社への不満は解消されるけども、社員のヤル気はアップしないということになります。
意外な感じがしますよね?
そうだとすると、例えば経営者の「給料アップしたんだから、ヤル気を出して頑張って働くのは当然だ!」という社員に対する言い分は理論上間違っているということになります。

これはいったいどういうことなのでしょう?
先ず経営者の「社員の頑張りに報いてあげたい」「社員には豊かで幸せな生活を送って欲しい」という社員を想う気持ちで給料をアップさせたことについては本当に頭が下がります。

ところが、社員は給料アップが嬉しくて「頑張るぞ!」と瞬間風速的にヤル気に満ち溢れるのですが、しばらくすると上がった給料が当たり前にもらえるような感覚になり、その結果、満ち溢れていたはずのヤル気は給料アップの前の状態に戻るんですね。

経営者にとって更に不幸なのは、社員にとって長時間労働などの「労働条件」が悪かったり、非効率な仕事をさせられるなど「作業条件」が悪かったり、最悪の上司に仕えたりすると「確かにこの前給料は上がったけど、逆にそれくらいの給料は貰わないとやってらんねえよ」という感情になることです。

せっかく社員を想って給料をアップさせたのに、社員の「給料アップはありがたいけどさ、労働時間は長いし、IT化も全く進んでないから面倒が多い。おまけに威張り散らす上司の機嫌を取らないといけないので大変なのよ。だからプラマイゼロね」という都合のよい解釈により勝手に相殺され、さも給料アップがなかったことのようになるという状況になれば本当に目も当てられません。

そのような空気感がまん延する中で、更に衛生要因のどこかに問題が起こると「うちの会社はブラックじゃないの?」というマイナスの感情が生まれ、それを給料アップの都度プラマイゼロに相殺するというような負のループが続くことになります。

社員の定着に欠かせないのは『承認』です②

これは『給料をある程度保障しているから「会社を辞めたい」という社員の気持ちを封じ込めている状態』とポジティブに捉えることもできれば、『給料を一定水準に保てないと社員が辞めていく状態』とネガティブに捉えることもできます。

上記のことからわかるのは、これらの「衛生要因」の改善や向上に力を入れる行為というのは、ヤル気を呼び起こすのではなく、社員が不満を感じにくくするため、あるいは社員が辞めたくなるのを阻止するための一つの手段ということです。

離職率が高かったり、労働トラブルがよく起こる会社は、この「衛生要因」のいずれかに問題がある可能性が高いため、それを見つけて改善していく必要があります。

一方で図の右側「動機付け要因」については、満たされると社員の会社や仕事に対する気持ちがゼロからプラスに転じるという要因です。

つまり、満たされない場合は会社への不満が溜まるわけではなく目立った弊害はおこらないけど、満たされると仕事へのヤル気がアップして成果が出やすくなるというものです。

その中には「昇進」や「仕事の責任」「達成感」などに加え、前回お話しをした「承認」が含まれています。

「昇進」は能力や成果のシンボルなので、自分の今までの努力が認められたという誇らしさを感じることでしょう。
「仕事の責任」も、今まで積み重ねてきた信頼に基づいた重要業務の移譲なので、自己効力感(自信)を感じるでしょうし、プレッシャーはあるもののやり遂げることで「達成感」を味わうこともできるでしょう。

では「承認」は?
「承認」の定義については前回のブログでも書きましたが、「相手が気付かない優れた能力、資質、業績(貢献)、成長、可能性などについて、その事実を本人に伝え、自覚させる」という行為です。
ではなぜ「承認」が必要なのでしょう?
それは「人は他者の承認により自分を確認できる」という他者に依存した面があるからです。
他者からの承認により自分が他者にとって価値のある人間であることが認識できれば、自信に繋がり、それが良い行動に繋がります。
特に他人の目を気にする日本人にとっては他人からの承認が欠かせないと言えます。

「承認」を職場で考えてみると「仕事のパフォーマンスで他者から承認を受けたい」という欲求が当然あるわけで、その欲求を満たしてくれる職場であるならば、きっとそこは居心地が良く、自分の持ち味を安心して発揮できる環境になっているでしょう。
そうすると、会社から必要とされる存在になり心が満たされるので、結果として「良いパフォーマンスを積み重ね続ける→長く働く→定着が促される」ということに繋がります。

「なら、とにかく褒めまくればいいんですよね?」という声が聞こえてきそうですが、それは「承認」の一面的な部分であり、全てではありません。
「承認」の種類もたくさんありますし、言葉かけの仕方もたくさんあるので、実は奥が深いんです。

では、次回のブログでは具体的な承認の仕方について書いていきますね!
 

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