コーチングってなに?②

労務コラム

コーチングってなに?②

前回は色々な相談スタイルと比較しながら、コーチングのスキルが今の時代になぜ必要かについて簡単にお話しさせていただきました。
前回の記事はこちら:コーチングってなに?①

今回もコーチングがなぜ必要かについて、職場という組織を例に詳しくお伝えしたいと思います。
私は仕事柄、経営者の方や管理職の方とお話しする機会がよくあるのですが、
「いやー、うちの社員は何も考えないで仕事をしているんだよね。」
「会議で発言もしないし、発言したとしても分かり切っていることしか言わない。能力がないのかな~」
このような話をされる方が多いです。

その会社の社員さんは本当に何も考えておらず、本当に能力が低いのでしょうか?
多くの会社と関わってきた私の経験から言いますと、全くそんなことはないです。

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では、このボタンの掛け違いのようなことが起こるのはなぜなのでしょう?
それは組織風土に問題があるからです。

組織風土というのは、創業時から受け継がれてきた価値観やコミュニケーションの取り方など、人間でいうならば性格のようなものです。
そしてその組織風土に問題があるかどうかを一発で見分けることができる場面がありますが、皆さんは分かりますか?
それは社内の会議です。

組織風土に問題がある会社の会議には次のような特徴があります。

・緊張感や危機感をあおり、重苦しい空気
・差しさわりのない無難な発言が繰り返される
・一方的な発言や沈黙の多い苦痛な時間が流れる
・常に批判されたり、否定されたりしている

一言で言うと「不安で危険でネガティブ」ですが、こんな状況の中で危険を冒してまでわざわざ発言なんか誰もしたくないですよね。
皆さんもこのような会議を一度は体験したことがあるのではないでしょうか?
では、どのような組織風土が理想なのでしょう?

それは「不安で危険でネガティブ」な状態が払拭されている組織風土、つまりその逆の「安心で安全でポジティブ」な組織風土です。
そのような会社には活力や元気があふれています。
とは言え、組織風土を「不安で危険でネガティブ」なものから「安心で安全でポジティブ」なものに変えていくのはとても大変です。
誰か一人が変えようと思っても、全員が変わろうと思わない限りなかなか変わらないのです。
また、変えようと思った人がいても「4つの不安」が常につきまとっているため、変えようという気力が起こらないのです。

では、その「4つの不安」とはなんでしょう?

例えば「新商品の開発」というテーマで会議をしたとします。
会議に参加したある社員は「いいアイデアが思いついた!」と嬉しい気持ちになりましたが、結局そのアイデアを会議で発言することはありませんでした。

なぜ発言しなかったのでしょう?
人が会議で発言しないのは次の4つの不安があるからです。

①「批判されたり、否定されたりするのではないか?」という不安
②「恥をかくのではないか?」という不安
③「仲間はずれにされるのではないか?」という不安
④「辞めさせられるのではないか?」という不安

このような不安しかないような会議の場で下手に発言して社長や管理職の怒りを買うくらいなら、黙ってやり過ごしたほうがいいに決まっていますよね。

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そんな会議で発言するには、4つの不安が現実に起こらないように根回しをしておくか、4つの不安が現実になることを覚悟して発言する必要があります。
大げさに聞こえるかも知れませんが、自分の考えを会社に伝えるのはそれくらい大変なものとして社員は捉えているのです。
そのため、意見の交換や発表の場などコミュニケーションが発生する場において、まずはこの4つの不安から解放されるように促していく必要があります。
そうすることで無駄な遠慮がなくなり、組織内のコミュニケーションは促進され、生産性の高いチームが構築されていきます。

それでは、この4つの不安をどうやって払拭するのか?
その1つの鍵となるのがコーチングです。

コーチングはこの4つの不安を解消しながら、コミュニケーションを促進する効果があります。
職場においてコーチングを行う場合、上司がコーチ、部下が相談者となり「部下の目標を起点に、部下に考えさせる」というのが上司の基本スタンスとなるのですが、4つの不安があるままだと部下は上司に目標を喋ってくれませんし、考えることも放棄するかも知れませんので、コーチングが成立しないことになります。

何より、コーチングにおいては「ラポール」というものを大切にしています。

「ラポール」とは、開かれたコミュニケーションができる状態のことを言います。
例えば、相手の発言を否定せず受け入れたり、声のトーンや話のテンポを相手に合わせたりする等、相手の本音を引き出すようなコミュニケーションを継続することで、お互いを尊重しながら話しやすい場づくりを行います。

どれだけラポールが保たれているかによって、引き出される情報の量や質が変わってきます。
そして、その情報の量が増え、質が上がるとコーチングの効果も高まりやすくなります。
そのため、上司が部下にコーチングを行う際は、この「ラポール」をいかに早く作り出せるかに最初は全力投球することになります。
そうして上司と部下との間でラポールが築かれると、その場には4つの不安が存在しない「安心で安全でポジティブ」な場が出来上がるのです。

結局のところ、コーチングにおいても会議においても「場作り」が大切だということです。
今回はコーチングが必要な理由を職場を例にして説明しましたが、次回はこの「ラポール」の具体的な方法について触れていきたいと思います。
お楽しみに♪

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