コーチングってなに?③

労務コラム

コーチングってなに?③

前回はコーチングがもたらす「場作り」の効果と「ラポール」の必要性について簡単にお話しさせていただきました。
今回はその「ラポール」について詳しくお伝えしたいと思います。
前回の記事はこちら:コーチングってなに?②

「ラポール」とは、開かれたコミュニケーションができる状態のことを指します。
その「ラポール」を形成するものとして、①ペーシング②聴く③承認の3つの要素がありますので、その3つを今回は解説しますね。

ラポールを形成する3つの要素
1.ペーシング

ペーシングとは「相手に合わせる」ことを指します。
相手に合わせることで、相手と自分の間に橋をかけていくようなイメージです。
具体的には以下のようなことを意識します。

・姿勢を合わせる
・言葉のイントネーションを合わせる
・話すスピードを合わせる
・声のトーンを合わせる

ペーシングとは「相手に合わせる」こと
ただし、その中で相手を否定するような言葉を使ってしまうと、ラポールは崩れてしまうので、意見が自分と違う場合には「そうかもしれない」「そう考えているんだね」と承認し受容した上で、自分の意見をつなげるようにしてみて下さい。

2.聴く

ただ相手の話を聴くのではなく、❶うなづき❷相槌❸オウム返し❹接続詞を使う❺ブロッキング、これらの5つのことを意識しながら聴くことが大切です。

❶うなづき
これは首を縦に振ることを指しますが、相手の話す事への同意や話を聞いている印象を与えます。
逆にうなづきが全くないと、相手は不安な気持ちになって、話すことに集中できなくなります。
❷相槌
「なるほど」「へえ」「そうなんですね」などの相槌も話を促進させる効果があります。
相手のスピードやトーンに合わせて相槌を打つことが大切です。
❸オウム返し(同じ言葉を繰り返す)
A「実は、今度のプロジェクトのことで困っているんです」
B「なるほど、困っているんだね」
このような感じで使用します。
同じ言葉を返すことで「あなたの話を聞いていますよ」というメッセージを発します。
受け入れてもらった安心感を相手に感じてもらうことで、話しを促し、課題を引き出しながら解決へと導いていきます。
「あなたの話をしっかり聞いてますよ」と相手に示す時以外にも、相手が考えや感情をどう表現しようか困っている時に使います。
❹接続詞を使う
「それで?」「それから?」「やってみてどうでした?」 「もう少し詳しく話してください」「もっと話を聞かせてください」などの接続詞や接続詞に類する言葉を使うことで、相手の話を促していきます。
ただし、口調がきつくなると相手は萎縮してしまうので、口調や語尾は意識的に柔らかくするといいと思います。
❺ブロッキング
相手の話を聞こうと思っていても、相手の言いたいことを聞くことは意外とできないものです。
これは、ブロッキング現象が自分の頭の中で起こっているからです。
ブロッキング現象とは、話を聞く時にしばしば自分の頭や心の中に邪魔するものが生じる現象のことを言います。
相手の話を聴くときに起こるブロッキング現象として、次のようなものがあります。

・自分の考えと違うと、自分の考えを言いたくなる
・相手の価値観に反論したくなる
・自分の興味や関心のあることは深く聞きたくなり、指導したくなる
・はっきりしない態度に対して、イライラする気持ちが起こる
・相手の話の内容に勝手なイメージを作りあげてしまう
・判断や方向性を誘導したくなる
・話し手が話し終える前に話を要約して復唱してしまう
・次に話す事を考えてしまう

❶うなづき❷相槌❸オウム返し❹接続詞を使う❺ブロッキング、これらの5つのことを意識しながら聴くことが大切
このようなブロッキング現象は癖になっていたりするので改善するのは大変ですが、自分のブロッキング現象の癖を把握して、できるだけ相手の話をニュートラルに聴くようにしましょう。
そうすると、解決に必要なキーワードを拾えるようになります。

3.承認

承認については以前のブログ(記事はこちら:社員の定着に欠かせないのは『承認』です③)で解説しましたが、大きく2つあります。
❶YOUメッセージ
「(あなたは)素晴らしい!」「(あなたは)頑張ったね!」というように「あなた」が主語になっているのでYOUメッセージと呼びます。
ただ、このYOUメッセージには「あなたはこうあるべきだ、こうすべきだ」という押し付けだったり、統制の手段のように受け止められてしまう弱点があります。
頻繁にやり過ぎると、相手によっては不快に感じたり、受け入れ難かったり、そのメッセージ自体を否定してしまう恐れがありますがありますので、次に紹介するIメッセージと織り交ぜながら自分の考えを伝えていきましょう。
❷Iメッセージ
「(私は)嬉しかった!」「(私は)助かりました」のように「私」が主語になっているのでIメッセージと呼びます。
Iメッセージは、「私」がそう感じているという素直な気持ちを伝える時に用います。
Iメッセージを受け取った相手は、自分の言動が人に良い影響を与えたという充実感、達成感を得ることで自分自身の価値を認識できる状態になるため、モチベーションが上がりやすくなり、会話が活性化されるようになります。

今回は「ラポール」を形成する要素である、①ペーシング②聴く③承認の3つについて解説しました。
最初は意識できていても、途中から忘れてしまい、いつも通りの相談スタイルに戻ってしまうことがよくあります。
そのため、ラポールを作り出すのが苦手な方は、その3つを書き出した紙を手元に置き、チラチラ見ながら相談に乗ってみることをお勧めします。
では、次回はコーチングの型について解説していきたいと思います。
お楽しみに♪

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